大阪市天王寺駅、阿倍野橋駅の司法書士 榊原秀剛司法書士/社会福祉士事務所 > ブログ > 人間というもの

人間というもの


NHKは、かつて食えない時代に「地域スタッフ」としてお世話になったこともあるのだが、基本的に好きになれない。地域スタッフ、平たく言えば、受信料を払っていない人のリスト(確かこういうものが用意されていたように思う)に従って個別訪問し、受信契約をお願いする職務だったと記憶しているが、ごちゃごちゃとした大阪の下町で、全身刺青に覆われた、一昔前の任侠映画に出てきそうなお兄さんに、どういう訳か上半身裸で出てこられて、

「なんじゃい、おのれは!」

「い、いえ、すみません」

と、ほうほうの態で、薄暗い木造アパートを飛び出したことを思い出したから、好きになれない訳でもない。

先日も、私の留守中に、「地域スタッフ」が、80歳になろうとする耳の遠い母を、勝手に妻に仕立て上げて、衛星放送の受信契約を結んでいったということもあったが、(ちなみに、私のテレビで視聴チェックという画面で調べても衛星放送は一切「受信できません」となる。)私の苦情対応に現れた、内勤事務スタッフの木で鼻をくくるような慇懃無礼な対応にも、この組織の性格が凝縮されている様で、とにかく私の体質に合わないようである。

そのNHKが、である。

ネットで偶然、何気なく検索していると「NHKオンデマンド」というものに出会った。NHKでかつて放映した番組をかなりの数、視聴できるシステムである。そう言えば、昔のNHKの番組は、格調も品格もあってよく観ていたものだなあ、などど、懐かしくいろいろと無料での「お試し視聴」で遊んでいると、「NHKスペシャル 映像の世紀」にたどり着いた。

1995年3月から1年かけて放送されたものであるが、加古隆さんの重厚なテーマ音楽に淡々と事実だけを手短に語る山根元世アナウンサーの語り口、そして当然ながらその事実としての映像の数々に圧倒された。圧巻であった。同時にこんないいものもかつては作っていたのだなあとしみじみと思ってしまった。

 

1.20世紀の幕開け カメラは歴史の断片をとらえ始めた

2.大量殺戮の完成 塹壕の兵士たちは凄まじい兵器の出現を見た

3.それはマンハッタンから始まった 噴き出した大衆社会の欲望が時代を動かした

4.ヒトラーの野望 人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した

5.世界は地獄を見た 無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆

6.独立の旗の下に 祖国統一に向けて、アジアは苦難の道を歩んだ

7.勝者の世界分割 東西の冷戦ヤルタ会談から始まった

8.恐怖の中の平和 東西の首脳は最終兵器・核を背負って対峙した

9.ベトナムの衝撃 アメリカ社会が揺らぎ始めた

10.民族の悲劇果てしなく 絶え間ない戦火、さまよう民の慟哭があった

11.JAPAN 世界が見た明治・大正・昭和

 

以上は、各放送回数とタイトルであるが、ざっと目を通すだけでおわかりの通り、一言でいえば、戦争の歴史である。殺戮と暴行、差別と憎しみ、宗教対立、民族対立が渦巻く歴史である。個人が、民族が、国家が、エゴと怒りで、知恵のひとかけらもなく狂奔してきた歴史である。これをノンフィクションの映画として上映しようとすれば、間違いなく「R15」指定を受けざるを得ないほど、暴力シーンに満ち溢れている。

勝ったものが、あるいは負けたものが自己の暴力行為とその根底にある怒りを、自分のエゴにまみれた理屈で正当化し、正義だとし、ご都合よく「道徳」「モラル」とまで主張する。その惨状に、全知全能の唯一神が自分を模して作ったとされる人間のあまりの出来の悪さ、神が製造者なら明らかに製造者責任を追及される欠陥商品ぶりが、端的に表れているのみである。

たぶん人間とはこんなものなのだろう。それ以上のそしてそれ以下のものでもない。そういうものなのだろう。もちろん、殺戮の陰には、例えばその殺戮者も、我が子を愛でたり、道端の花に微笑みを送ったりなどという優しさも多く存在したことであろう。しかしながら今世紀に入っても続く世界各地の紛争や、個人の人権など微塵も顧みず自己の政治権力を温存するため法的には正当に「暴力」を繰り返すだけの散見される政治の状況を見てみると、この先の人間も基本的には単なる馬鹿に過ぎないと思われてくる。

 

「あんたもアホヤろ、うちかて、アホやは アッと驚くため五郎~」

なんていうのが一昔前にあったが、各自、理性のかけらもない存在に過ぎないと自覚して、他を害さぬよう、自分も害さぬよう、心して生きていった方がいいのかもしれない。

そういう思いで福島原発の不幸な遅々として進まない状況をテレビで見ていると、わかったような理屈をつけて他人に責任をなすりつけあっている。ああ、やっぱりそうか、と思いつつ、でも、人様の事はどうあれ、私自身、アホをさらに自覚しようと思わせた番組であった。



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